事業成果物名

過疎化に立ち向かう島“小値賀”

団体名

事業成果物概要

【九州の島々】
 当協会は平成18年度より、芸術・芸能に触れる機会の少ない離島の子供達に
芸術・芸能公演とワークショップを実施している。
 九州(沖縄県を除く)は離島が多く、学校がある離島は約70島、6年をかけて全島をまわる予定である。
 いにしえから陸路より海路が発達していた九州において、離島は重要な役割を担ってきた。江戸期においては平戸、五島、唐津などで捕鯨が盛んであったし、明治以降は長崎の島々で海底炭鉱開発が盛んで、多くの富をもたらすとともに、多くの人々が移住し賑わってきた。
 しかし、産業の衰退とともに人々は去り、残った住民は、漁業やわずかな土地を利用した農業で細々と生活してきた。
 最近では温暖化の影響もあり、漁業にもかげりがみえはじめ、ますます過疎化に拍車がかかる島も多い。島に残りたくても学校がない、仕事がないという若者、医療施設がなく島外の病院に入院する老人などが大きな要因である。
 実際に我々が訪れた学校も、1クラス1~10名、もしくは複式学級(違う学年がひとつのクラスで勉強する)がほとんどである。6学年で生徒4名という島もあった。
 また大きな島(天草、五島、対馬など)では少子化により学校の統合が進んでいる。日本財団の3月19日付ブログマガジンに取り上げていただいたが、上天草では平成25年までに小学校16校を6校にするよう進められている。
 このままでは数十年後には、離島の多くが無人島化するのではないかと危惧する。

【小値賀島の取組みについて】
 長崎県五島列島の北から二番目に位置する小値賀島は、海底火山の噴火によりできた島で、溶岩でできているため、高い山もなく、漁業のほか農業も盛んで、畜産農家もある。食料自給率100%と聞く。離島の中では恵まれた環境にある。 しかし過疎化は着実に進んでいる。
 小値賀島の過去10年間の人口推移である。
    2000年   3,858人      2006年   3,329人
    2001年   3,796人      2007年   3,196人
    2002年   3,684人      2008年   3,097人
    2003年   3,613人      2009年   2,999人
    2004年   3,545人      2010年   2,955人
    2005年   3,460人
                
 以上のように約10年間で約1/4の人口が減少した。
 そこで小値賀町は、島の発展とうるおいのある社会づくりをめざすために
2007年2月NPO法人「おぢかアイランドツーリズム協会」を設立した。以下協会の活動内容を記す。

【アイランドツーリズム協会の活動】
 小値賀の自然、歴史、文化をアピールし、特に社会教育、生涯教育の観点から人と文化と自然との共生を目指し、以下の活動を行っている。
 
○子ども自然王国「宝島」
無人島となった隣の島「野崎島」の学校跡を改装し、団体の宿泊施設を
つくった。そして夏休みを利用した長期の子供キャンプ事業を展開している。 自然体験、アジ釣り、カヌートレッキングなど。
○同じく自然体験などを活用した企業研修の実施。   
○旅行社や組合などの連携による自然体験ツアーの実施。
○長崎県の文化財である「野首天主堂」を使った『おぢか国際音楽祭』の実施(2010年度で10回目を迎える)
○古民家を改築し、レストランや宿泊施設にする古民家再生事業の実施。

これらの事業は、小値賀を外にアピールするだけでなく、雇用を創造することにもなる。また本土から小値賀に移住し小値賀の発展に寄与する人材を広く公募するとともに、Iターン者の受け入れも積極的に行っている。


このような小値賀の取組みは、過疎化に直面する離島や地域の見本となるのではないだろうか。
地域に暮らしているとその良さに気付かないけれど、他所から人を招くことによって、その地域の素晴らしさを再確認できる場合がある。
それには行政の関わりも、住民の意識も必要不可欠である。

助成機関

  • 日本財団

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